米国経済とドルの底力を見くびってはならない
前回(7月26日)更新分の本欄で、米10年債利回りについて「足元(当時は1.2%割れの水準)は明らかに下げ過ぎで、それは先物などで米国債を売りヘッジしていた向きの買い戻しという単にテクニカルな要因に基づく」と述べた。実際、同利回りは今週11日に一時1.37%まで上昇。それに伴って、ドル円は一時110.80円まで値を戻し、一方でユーロ/ドルは一時1.1706ドルまで下押した。いずれも想定したとおりの結果となったが、それでもまた米国債利回りは低過ぎるし、なおもドルは評価不足であると考える。
やはり、米国経済とドルの底力を見くびってはならない。既知のとおり、先週4日に発表された7月の米ISM非製造業景況指数は64.1と、1997年の統計開始以来で最高の水準に達していた。外食や旅行といったサービスの需要がこの数カ月で一気に回復してきている様子を浮き彫りにした格好である。また、6日に発表された7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が前月比+94.3万人と、前月比で大幅な伸びとなった。とくに娯楽・ホスピタリティーの伸びが大きく、それだけ米国の個人消費は旺盛になっている。
さらに、週明け9日に発表された6月の米求人は1007万件と、これまた過去最大の件数にのぼった。以前から指摘されている通り、米国では少なからぬ週において6月、7月に失業保険手当ての上乗せ給付措置が前倒しで停止されており、足元では徐々に求職活動を再開する向きが増えている。むろん、これも想定していた通りである。
そして、こうした傾向は8月、9月になると一層強まる。9月になれば、失業保険手当ての上乗せ給付が全面的に停止されるうえ、新学期で学校が始まることから子育ての手が離れる向きも増える。そこに過去最大の「求人」が待ち受けているというのだ。
米消費者物価指数(CPI)の結果
なお、今週11日に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)の結果に対しては、市場が米国債の買い戻しとドルの売り戻しで反応した。「CPIの結果がインフレ鈍化を示した」と後付け講釈する向きもあったが、実際には——
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