足元の米国債利回り低下はあくまで一過性
先週8日、米10年債利回りが一時1.24%台まで低下したことを受けて、市場は一時的にも大いに動揺した。その原因として「変異種のデルタ株が世界的に拡散していることで、景気の先行きに対する警戒感が強まっているため」との声が市場の一部で聞かれていたが、そうした見方を鵜呑みにすることには慎重であらねばなるまい。
より大きな原因は「米金利の再上昇に備えて米国債先物などでヘッジしていた向きが一斉にポジション(持ち高)を解消したこと」であると見ていいだろう。思えば、6月のFOMC後に一旦急低下した米10年債利回りについて「ほどなく再上昇する」と想定していた向きは少なくなかった。しかし、その後もなかなか浮上してこないので、シビレを切らして米国債を一旦買い戻したというわけである。つまり、今回の米10年債利回りの低下はあくまで一過性のものであると考えるのが妥当であるということになる。
再びリスク選好ムードが広がる?
むろん、市場に一時的に広まったリスク回避ムードというのも、ほどなく後退して行くものと見ていいだろう。その実、先週9日の日経平均株価は前日比で一時700円近くも下げる場面があったものの、最終的には177円安に留まることとなった。まして、同日のNYダウ平均は終値ベースで史上最高値を更新している。さらに——
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